• 減糖減肥鍼の臨床

    S・Kさん 69歳 女性

    足のむくみやしびれが強く、休み休み歩かないと買い物にも行けないので、鍼灸治療で何とかして欲しいと思い来院しました。20年ぐらい前から糖尿病と坐骨神経痛で悩んでいました。空腹時血糖値は150mg/dl前後、ヘモグロビンA1c値が7%前後で推移しています。但し、最近は血圧も高くなり、タンパク尿も出ていました。担当医師からは、悪化すると、糖尿病性腎症になり、人工透析のお世話になるかもしれないから、これ以上血糖値を上げないようにと注意されていました。

    担当者より患者本人も薬を欠かさず飲み、食事制限をして体重も標準体重以下に落としていた。それでも長い間血糖値が高いと動脈硬化が進むようである。坐骨神経根に鍼をしてから、足の指の先端や失眠、照海、太谿、足三里、気海、関元などのツボに糸状灸を行い、様子をみてもらうことにした。すると、次に来院した時、とても足腰の調子が良く、歩行距離は延びたし、階段の上り下りも楽になったと喜んだ様子で報告していた。その後、数か月で足のむくみも取れ、タンパク尿も±、尿素窒素もクレアチンも正常値近くに改善していた。遠方に住んでいるため、近くの鍼灸院を紹介して、私の手から離れた。
  • 減糖減肥鍼の臨床

    Y・Yさん 70歳 男性

    強い肩こりと耳鳴りがあり来院しました。原因は職場のストレスだと思います。鍼灸治療をすると体がラクになるので定期的に通っていました。
    その後、血糖値が上がってきたため、糖尿病の治療も一緒にしてもらうことになりました。

    担当者より新陳代謝を亢進させたり、筋肉の緊張を緩めたり、あるいは精神を安定させる鍼灸治療を行ったところ、直ぐに改善がみられた。その後、鍼灸治療を受けると、熟睡できるとのことで、隔週で来院するようになる。来院時、前々から糖尿病予備群と言われていたが、急に血糖値やヘモグロビンA1cが高くなり、危険な状態にあると診断されたそうだ。持参した血液検査データにはブドウ糖負荷試験2時間値266mg/dl、ヘモグロビンA1c値7.9%と記載されていた。細かく尋ねると、食後高血糖改善薬を服用していたが、このところ仕事上の付き合いでカロリーコントロールが出来ない状況にあると打ち明けた。そこで、いつもの鍼灸治療の他、照海や陰陵泉、尺沢、十三椎、崑崙、三陰交などのツボにも施灸した。同時に低炭水化物療法も勧めた。すると、半年ほどでブドウ糖負荷試験2時間値200mg/dlを切るようになり、ヘモグロビンA1c値7%前後に安定するようになった。ところが、その後白内障が悪化して、免許の更新に苦労したり、手足に痛みやしびれがあらわれたりと、様々な症状が次々にあらわれた。これが糖尿病の怖いところである。現在、対処療法的に手足の神経の機能を高める鍼灸治療の他、白内障対策として澤田流合谷への温熱灸を自宅でも行ってもらい、小康状態を維持している。
  • 減糖減肥鍼の臨床

    N・Kさん 42歳 男性

    喉の渇きと体重減、疲労感が気になり病院で診てもらうと、Ⅰ型糖尿病と診断されました。インシュリンの自己注射(ノボリンR注1日3回3単位、レペミル注就寝前3単位)を始めました。ところが、甘い物を過食してしまうせいか、依然としてヘモグロビンA1cが9.0%前後という数値でした。そうこうしているうちに両足に痛みとしびれを感じるようになりました。医師から間違いなく坐骨神経痛だが、根本的な原因は糖尿病にあると言われました。更に将来足が壊死する可能性もあるので、今後はインシュリンの投与量に見合ったカロリー量になるように食事制限も厳守しなさいとも言われました。そこで、せめて足の痛みとしびれを取ってもえらえればと思い来院しました。

    担当者より診ると、背中の皮膚が厚いゴムのようになっている。この変化は永く糖尿病を患っていることを示しているのだ。通常の坐骨神経痛治療の他、経験的に血糖値を安定させると言われている照海や陰陵泉、尺沢、十三椎、崑崙、三陰交などのツボに施灸した。糖尿病患者の中には、化膿しやすい方がいるので、糸状灸と呼ばれる糸くずのような大きさの灸で済ませた。ひと月に一度の受診だったが、そのかわり上記のツボに自宅にて温熱灸を行ってもらうことにした。その後、2ヶ月ほどで足の痛みやしびれは軽快した。また、3ヶ月過ぎるころから頻繁に低血糖症状があらわれるようになった。病院での血液検査の結果、食後血糖値が低くなっていることがわかり、インシュリンの自己注射量を2単位にすることができた。
  • 減糖減肥鍼の臨床

    T.Kさん 70歳 男性

    糖尿病が悪化し、長年手足の末梢神経麻痺や精神神経症で悩んでいました。大学病院で加療していましたが、一向に改善しないので、家人の勧めで鍼灸治療を受けることになりました。

    担当者より話を聞くと、甘い物が大好きでチョコレートや饅頭を日に何個も食べるとのこと。これでは血糖値が下がるわけがない。ともあれ、鍼灸治療は、原疾患に関わらず、痛みや麻痺を軽減できることが多い。痛みやしびれの多くは神経の機能低下だからだ。鍼灸治療により、神経への血流を増進させたり、直接神経に刺激を与えて伝達能を高めたりすると、その神経の機能が強化され、痛みやしびれが軽快すると言われている。足の痛みやしびれには、2寸鍼を用い坐骨神経根に届く鍼治療を、手のしびれには腕神経叢を刺激する鍼灸治療を行った。耳の付け根のツボ(降圧点)にも皮内鍼を固定した。更に照海や陰稜泉、尺沢、十三椎、崑崙、三陰交、陽稜泉、失眠などのツボにも糸状灸を施した。同様の治療を週に1回施すと、1ヶ月後には手足の痛みしびれが殆ど取れた。そして、3ヶ月には糖尿病も改善し、インシュリンの自己注射量が5単位から3単位に減らすことができた。ただし、時折、糖尿病のツボの圧痛が激しくなる。尋ねると、やはり甘い物の摂り過ぎである。特にチョコレートの食べ過ぎは血圧も上げるので要注意だ。このようなやり取りを続けながら2年が経過しつつある。
  • 減糖減肥鍼の臨床

    Y.Oさん 56歳 男性

    会社の検診で糖尿病が疑われ、病院で精査すると、空腹時血糖値が122mg/dl、ヘモグロビンA1c値が6.7%で、糖尿病予備軍との診断をうけました。それどころか、脳動脈瘤とラクナ梗塞も指摘されました。医師の話では、このまま血糖値の高い状態が続くと脳動脈硬化が進行して、早晩、脳動脈瘤破裂や脳梗塞の発症が危惧されるとのことでした。身長168cmで体重86kg。疲れやすく肩や首が凝るし、腰も重く足先にほてりとしびれを感じていました。その上汗かきで喉も渇く。まさに「糖尿病」という症状でした。知人からりゅうえい治療院が脳卒中の後遺症や、糖尿病からの神経痛や神経麻痺の治療を得意としていることを聞き来院しました。

    担当者より東洋医学的な診断では脾腎陰虚である。証に合わせ、一般的な自律神経系を調整する鍼灸治療の他、太谿や陰陵泉、中?、足三里、三陰交、十三椎などのツボに施灸した。更に過食を是正させるために、合谷や陽陵泉、耳のツボなどにも鍼治療を施した。「減糖減肥鍼」と呼ぶ鍼灸施術である。2~3回ほど鍼灸治療を行うと、首肩の凝りや疲労感が気にならなくなり、その年の暮れには汗かきや喉の渇きといった症状も緩和され、空腹時血糖値が114mg/dl、ヘモグロビンA1c値が6.1%に激減していた。体重も5kg減り、腹部にシワが出来ていた。医師からは血糖値が安定しているので、脳卒中の危険性は多少遠のいたと言われたそうだ。現在、忘れたころに肩こりや腰痛で来院するが、血糖値やヘモグロビンA1c値は、ほぼ正常値であると言う。
  • 減糖減肥鍼の臨床

    T.Wさん 38歳 女性

    会社の健康診断でメタボを指摘され、来院しました。首や肩のこりなどの症状もあったので、トータル的な改善ができればと思い、鍼灸治療を選択しました。

    担当者より持参された診断結果には、身長158cmで体重75kg、腹囲88cm、中性脂肪210mg/dl、血圧は上135mmHgで下が96mmHgと記載されていた。また、脂肪肝や軽度肝障害も注意されていた。見ると、下半身がビア樽のように膨れている。明らかにメタボ体型である。問診では、首肩の凝りと息切れを強く訴えていた。心肺への負担が大きいのか、あるいは脂肪肝からの横隔膜反射か、いずれにしろ肥満が原因と思われた。当初の東洋医学的な診断は、脈状診:やや浮・やや数・弦、六部定位脈診:脾虚胆実、舌診:舌質淡・湿潤微白苔、腹診:右胸脇苦満・臍傍圧痛であった。太白、商丘、首肩の凝りを取る鍼灸治療の他に、合谷や太衝、豊隆、血海、三陰交、天枢、気海などの代謝を亢進させるツボにも施術を行った。更に耳の食欲を軽減させるツボにもテープで置き鍼を施した。10日後の再診時、翌日から食欲が減退してきたと治療後の経過を話してくれた。また、臭覚が敏感になり、特に油ものの臭いが鼻につくので、アッサリした料理を好んで食べるようになったとも言っていた。