減糖減肥鍼の臨床

N・Kさん 42歳 男性

喉の渇きと体重減、疲労感が気になり病院で診てもらうと、Ⅰ型糖尿病と診断されました。インシュリンの自己注射(ノボリンR注1日3回3単位、レペミル注就寝前3単位)を始めました。ところが、甘い物を過食してしまうせいか、依然としてヘモグロビンA1cが9.0%前後という数値でした。そうこうしているうちに両足に痛みとしびれを感じるようになりました。医師から間違いなく坐骨神経痛だが、根本的な原因は糖尿病にあると言われました。更に将来足が壊死する可能性もあるので、今後はインシュリンの投与量に見合ったカロリー量になるように食事制限も厳守しなさいとも言われました。そこで、せめて足の痛みとしびれを取ってもえらえればと思い来院しました。

担当者より診ると、背中の皮膚が厚いゴムのようになっている。この変化は永く糖尿病を患っていることを示しているのだ。通常の坐骨神経痛治療の他、経験的に血糖値を安定させると言われている照海や陰陵泉、尺沢、十三椎、崑崙、三陰交などのツボに施灸した。糖尿病患者の中には、化膿しやすい方がいるので、糸状灸と呼ばれる糸くずのような大きさの灸で済ませた。ひと月に一度の受診だったが、そのかわり上記のツボに自宅にて温熱灸を行ってもらうことにした。その後、2ヶ月ほどで足の痛みやしびれは軽快した。また、3ヶ月過ぎるころから頻繁に低血糖症状があらわれるようになった。病院での血液検査の結果、食後血糖値が低くなっていることがわかり、インシュリンの自己注射量を2単位にすることができた。

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