「温床鍼」詳細

「温床鍼」は子宮や卵巣の働きを良くして、不妊症対策になる鍼灸治療です。

不妊症は1年以上避妊操作をせずに性交をしても妊娠しない状態を指します。不妊症の原因には卵管閉塞や無排卵症、子宮筋腫、子宮腺筋症など医師の治療が必要な絶対的不妊症がありますが、鍼灸で治療可能な不妊症は受精しても着床しにくい、着床しても胎盤が形成されない、あるいは着床しても赤ちゃんまで育たないで流産してしまうタイプです。

この着床しにくい状態を生化学的妊娠と呼んでいます。実はこの受精してもすぐに流れてしまう不妊も多いのです。排卵にあわせ精子を子宮に注入しても、対外受精した卵子を子宮に戻しても着床しない、胎盤をはらないというケースです。100万円近い治療費を払っても受胎に至らず、途中であきらめてしまったという話をよく聞きます。

鍼灸治療では、このような不妊に効果がみられるのです。
「温床鍼」は通常の不妊症のツボの他、脳の下垂体を刺激することが示唆されるツボを加え、妊娠しやすい状態に導く鍼灸治療です。つまり、生殖器の血流を促進したり、脳からの性腺刺激ホルモンの分泌を調整することで、卵巣や子宮の環境を良好にし、生化学的妊娠や不育症を改善することになります。
では、「温床鍼」の詳細を順にご紹介します。

女性ホルモンの相対的な減少

男性の中性化が深刻な社会問題になりつつあることを、Eテレのサイエンスゼロで放送していました。番組では人間が集団生活を営むようになった頃から男性の身体に男性ホルモンの占める割合が減少しはじめたとのことです。現代の男子は顔つきも性格も女性化し、性行動に陰りがでてきているようです。

この現象は草食性男子の増加ということで、ベストセラーになった本の主題になっていますが、実際は女子の性にも異変が生じています。Eテレでは女性の男性ホルモンの増加も問題視していました。

実は男子だけではなく女子の身体もテストステロンなどの男性ホルモンを分泌しています。テストステロンは主に副腎で産生され、男性の5~10%程度分泌されています。

通常は女性ホルモンの比率の方が高く、丸みをおびた体系や母性愛など、女性らしさをあらわしています。この女性ホルモンの代表は卵巣から放出されるエストロゲンで、妊娠出産に絶対必要です。このエストロゲンのバランスが崩れ、相対的に男性ホルモンの比率が高くなると、次の症状があらわれることがあります。

1.性格が挑戦的、あるいは好戦的になる
2.抜け毛が多い
3.体毛が濃くなる、ひげが伸びやすくなる
4.ニキビがふぇる、
5.筋肉質になる
6.イライラ、のぼせ 不眠

また、男性ホルモンが増えると、排卵に乱れが生じ、生理の周期もくるってしまうことがあります。これは妊娠や妊娠継続に不都合です

ホルモンと妊娠出産

生理が終わると、脳の視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモンが分泌され、となりの脳下垂体を刺激することで、そこから性腺刺激ホルモンである卵胞刺激ホルモンが分泌されます。卵胞刺激ホルモンは卵巣に働きかけ、卵胞の成熟を進めます。卵胞は卵子を保護する袋のようなもので、エストロゲンを分泌します。エストロゲンは粘液を産生して精子を動きやすくすることで受精を助けたり、子宮内膜を厚くし受精卵を着床しやすくさせたりします。また、エストロゲン濃度が高まると、脳下垂体は卵胞刺激ホルモンの分泌を減少させるとともに排卵をうながす黄体形成ホルモンの分泌を促進させます。卵胞から排卵された卵子は卵管に移動し精子がやってくるのを待ちます。受精に至れば、分裂を繰り返し子宮粘膜に着床することで妊娠が成立します。

ホルモンの作用と排卵

視床下部【性腺刺激ホルモン放出ホルモン】 → 脳下垂体【卵胞刺激ホルモン】 → 卵巣 → 卵胞【エストロゲン】 → 脳下垂体【黄体形成ホルモン】
→卵胞 → 排卵

排卵後の卵胞も黄体化して黄体ホルモンを分泌して更に子宮粘膜を厚くすることで着床から妊娠継続までの支援をします。受精卵が着床すると、そのまわりに母体から栄養をもらったり老廃物を排出したりする胎盤が形成され、胎児に成長するようにします。その後40週ぐらいで出産となります。この間、妊娠させるため高温期になります。但し、受精しない場合は、剥がれ落ちる子宮粘膜と一緒に卵子も生理として体外に排出されます。当然、体温も低くなります。

このように女性の生理や妊娠出産に脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンやエストロゲン、黄体ホルモンが重要な役割を果たしていることが解ります。特にエストロゲンは女性らしいプロモーション作りや健康的な肌や髪の維持などにも不可欠なホルモンです。

不妊症の原因

不妊症の原因は下記に分類されます。
1.排卵異常 卵胞が成熟しない、排卵しないなど
2.卵管障害 卵管が狭い、閉鎖しているなど。
3.頸管障害 頸管が狭く、精子が子宮に入り込めないなど。
4.着床障害 受精卵が着床しないなど。
5.免疫障害 精子を異物として排除してしまう。
5.原因不明不妊 最も多い不妊症の原因で、着床しにくい、あるいは着床しても胎盤を作れないといったことが推測される。生化学的妊娠による流産を含めることもある。

「温床鍼」が効果的な不妊症のタイプ

ストレスによるホルモンバランス異常からの排卵異常や、生理不順、原因不明とされながらも子宮環境が着床や妊娠に適していないといったことが考えられる不妊症に効果的です。

卵管障害や頸管障害などの器質的な不妊症は産婦人科の治療が必要です。

「温床鍼」の実際と作用

「温床鍼」とは、子宮環境を良好にし、受精卵が着床し胎児となり赤ちゃんまで成長させることを期して命名した鍼灸治療です。

「温床鍼」に頻繁に利用されるツボは三陰交や足三里、血海、陽池、志室、陽関、石門の他、中条流不妊のツボです。これらのツボは古くから婦人科系に作用するツボとされ、卵巣や子宮の血流を改善することでその機能を高めます。

更にこめかみや口の周囲、耳の周りのツボに鍼を刺します。これは脳卒中の後遺症や精神神経疾患に効果的な「活脳鍼 かつのうしん」の応用になります。「活脳鍼」の刺激は顔に分布する三叉神経や迷走神経、顔面神経求心路を介して、視床から視床下部に伝わります。その刺激は視床下部から脳下垂体に及び、性腺刺激ホルモンの分泌を促進させることが期待できます。

この裏付けは歴史的な経験則と臨床結果が示しています。

自助努力も必要

「温床鍼」は1ヵ月に1~2回ほどの治療で十分です。但し、ご自宅で次の受胎促進策も実践して頂くことになります。

温灸
「温床鍼」を受ける際は、自助努力も必要です。即ち、ご自宅で三陰交などのツボに温灸をお願いしています。ツボの位置をお教えしますので、毎日1回必ず行ってください。次第に足腰が温まるようになります。これが卵巣や子宮の環境が改善した証拠になります。

漢方
体質に合わせ、漢方薬の服用も効果的です。繁用させる漢方薬は桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、六君子湯などです。

アロマ入浴
女性ホルモンを増やす方法として、アロマ入浴もお勧めです。
その際、ふくらはぎのリンパマッサージと、脛骨の縁への指圧を行うと更に効果的です。

入浴方法は腰湯が勧められます。湯温は38~40℃で、少しなが目に浸かると効果的です。アロマはカミツレ、ラベンダー、ジャスミン、ローズなどの香りに定評があります。

喜びの声

ここで、実際の受胎から出産に至り、立派な赤ちゃんを育てている方からの喜びの声をご紹介しましょう。

Aさん 35歳 会社員

Bさん 40歳 主婦

Cさん 36歳 会社員

Dさん 41歳 自営業

お相手と仲良く受診

「温床鍼」は当院の臨床において原因不明な不妊症に優れた効果をあらわしますが、男性側の支障も考えられる場合は、ご両人で治療を受けられることをお勧めします。男性向けに「養精鍼」を用意しています。

以上、「温床鍼」のご紹介を致しました。

鍼灸と併用して漢方薬や和漢サプリメントも利用できます

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同建物の1階に漢方薬店を併設しています。ご希望に応じて、症状や体質にあった漢方薬や和漢サプリメントをご提案しています。
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体質や症状に合わせて杞菊地黄丸、苓桂朮甘湯、五苓散、二至丸、加味逍遙散など