りゅうえい健康通信-食養生 「甜菜(てんさい) 別名:砂糖大根、ビート」高脂血症や脂肪肝、肝機能障害や肥満等の改善に効果的!
天然砂糖の原料は、主にサトウキビですが、その他に、甜菜(てんさい)があります。大根に似た紡錘形の多肉の根を持っている為、別名、砂糖大根やビートと呼ばれていますが、大根とは別種の植物です。そして、この根の汁から取れるのが甜菜(てんさい)糖と呼ばれる砂糖です。
甜菜糖は上品な甘さのため、コーヒーや紅茶用のスティックタイプの高級砂糖として利用されています。また、甜菜からはベタインと呼ばれる天然のアミノ酸も作られます。
このベタインが、高脂血症、脂肪肝、肝機能障害、肥満等の改善に役立つのです。特に脂肪肝とアルコールによる肝機能障害には卓越した効果が望めます。
ベタインは、もともと家畜、主に牛の肉質改良を目的に開発されました。ベタインには強い抗脂肪蓄積作用があるので、肥料に混ぜて与えると、余分な脂肪がとれ、筋骨隆々の牛に育て上げることができるのです。欧米ではこのような肉が最良とされ、大変人気があります。日本では松阪牛や神戸牛に代表される霜降り肉が珍重されていますから、食習慣の違いには驚かされるばかりです。
その後、人間の病気の改善にも応用できるのではないかとドイツのシュタッケン・ベルグ記念病院の医師等が臨床テストを始めました。ベタインの薬理は良くわかっていましたし、数十年間、多くの家畜に与えられ、安全性にも定評があったので、速やかに人間にも投与できたのです。
対象は、食べ過ぎ、運動不足、アルコールの飲み過ぎ等で、高脂血症、脂肪肝、あるいは肝炎になった数百名にのぼる患者さん達でした。また、条件は、必ず今までどおりの生活を続けてもらうこと、ただし新たに薬を追加服用することだけは禁ずるというものでした。あくまでも、ベタインの効果の有無を調査したかったからです。
効果は、1~2ヶ月のベタインの投与で、その90%が改善しました。血中のコレステロールや中性脂肪、肝臓や胆管の異常の有無を調べる指標になるγGTPやGOTが正常、もしくは正常に近づいたのです。しかも、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールは増える傾向にあったと言うのですから理想的な回復と言えます。この臨床テストの結果は、さらなるベタインの研究に拍車をかけ、多くの病院で追試されました。そして、ついに、医薬品への道が開けたのです。ドイツでは、シュワーベという製薬会社が、ベタインに西洋ナナカマドという薬用植物から得られた天然のソルビットを加えて作った高脂血症や脂肪肝、アルコール性肝炎の医薬品を販売しました。日本でもベタインの研究が盛んに行われて、高脂血症や肥満の改善に素晴らしい効果があらわれたと報告されています。
以上のように、甜菜に含まれるベタインが、高脂血症や脂肪肝、肝機能障害や肥満等の改善に効果的なことはお解かり頂けるかと思いますので、食べ過ぎやアルコールの飲み過ぎや高脂血症や脂肪肝など、肝機能に心配のある方は、一度試されてはいかがでしょうか。