花粉症やアトピー、喘息などアレルギーはサイトカインの異常も原因!

近年、花粉症アレルギー性湿疹喘息などのアレルギー性疾患が急増しています。また、リウマチなどの膠原病の発生も後を絶ちません。

どれも過剰な免疫反応が原因です。

これらの疾患が難治なのは炎症性サイトカインの過剰な分泌が原因のひとつだからです。

そこで、ご紹介したいのが、「快鍼」 (かいしん)と言う鍼灸治療です。

当院は長年様々なアレルギー性疾患を観てきて、その集大成として「快鍼」という、花粉症やアレルギー性湿疹、喘息に効果的な鍼灸治療を完成しました。

更に「快鍼」はリウマチやエリトマトーデスなどの膠原病にも一定の効果が期待できます。

「快鍼 」はサイトカインを抑制して花粉症やアトピー、喘息などのアレルギー性疾患、リウマチなどの膠原病を緩和する新しい鍼灸治療です!

年々増加するアレルギー性疾患

特に花粉症は国民の2人に1人が罹るとのこと、まさに国民病と言えます。

毎年2月から4月にかけて杉花粉が飛散する時期になると、

  • 鼻水
  • 鼻づまり
  • 目のかゆみ
  • 喉や耳の奥の違和感

に悩まされます。

それどころか5月はヒノキの花粉、秋はぶたくさなどのイネ科の植物の花粉が飛ぶようになります。

それぞれの花粉に過敏な方は1年中花粉症症状があらわれているのです。

花粉症

それでも花粉症は難治です。

抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤による治療が全ての方に奏功するわけではありません。

アレルギー性湿疹も根本的な治療法が確立していません。

ステロイドの外用薬の塗布が主たる治療になりますが、継続的な利用による副作用が問題になっています。

ステロイドの量や期間など、専門医も苦慮しているようです。

副作用で悩む子供

アレルギー性喘息はステロイドの吸入で呼吸困難などの危険な症状を回避することができるようになりましたし、気管支拡張剤などの服用で症状の緩和もできるようになりました。

ただし、繰り返す発作は慢性化を引き起こし、薬の効き目を弱くします。

吸入

花粉症のあと、アレルギー性湿疹やアレルギー性喘息が増悪することがあります。

これをアレルギーマーチと呼びます。

つぎつぎにアレルギー症状があらわれるからです。

花粉症もアレルギー性湿疹もアレルギー性喘息もⅠ型アレルギーと言われ、同じような機序で発症するからです。

アレルギー

現在、花粉症もアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患は耳鼻咽喉科や眼科、皮膚科の専門医による標準治療が主流になっていますが、満足できない方も相当数いらっしゃるはずです。

アレルギーの増悪物質はサイトカイン

花粉症はアレルゲンと呼ばれる花粉が鼻腔や眼、喉名の粘膜に侵入すると、それを排除しようとする免疫細胞が過激に反応して鼻水や鼻づまり、結膜炎などの症状をあらわしてしまう疾患です。

通常免疫細胞は自己と非自己を見極めて、非自己である細菌やウイルス、カビ、寄生虫などの病原体や、ほこり、粉塵、花粉などが体内に侵入すると、抗体という攻撃物質を作り、それらを駆除、無毒化しようとします。

病気にならないために、病気から回復するために必要不可欠な防衛システムと言えます。

これを抗原抗体反応と呼んでいます。

抗原抗体反応

ところが、このシステムに異常を来すと、アレルギーや免疫不全という症状があらわれます。

過剰になると、花粉症やアレルギー性湿疹、アレルギー性喘息の発症、低下すると様々な感染症やガンを引き起こします。

新型コロナの重症化もサイトカインが関与していると言われています。

したがって、抗原抗体反応は強くても弱くても健康維持ができなくなります。

花粉症の場合は抗原が花粉なので、過激な抗原抗体反応を起こす必要はありません。

軽く鼻水や涙で洗い流してしまえば済むことです。

ところが、鼻腔や眼、喉の粘膜が過敏になっていると、恐ろしい敵とみなし、止めもなく攻撃してしまいます。

過敏とは花粉を敵とみなし、対抗するIGE抗体が量産された状態を指します。

アレルギー反応

このIGE抗体が花粉と反応すると、鼻腔や眼、喉の粘膜に存在しているマスト細胞からヒスタミンという炎症物質を放出し、辛いアレルギー症状をあらわすのです。

但し、勝手気ままにヒスタミンを放出させるわけではありません。

主にIGE抗体が結合したマスト細胞が放出するのです。

つまり、度重なる花粉の侵入で量産されたIGE抗体が反応して過激な抗原抗体反応を示してしまうのが花粉症なのです。

IGE抗体によるアレルギー性疾患は花粉症の他、アトピー、アレルギー性喘息も含まれます。

ヒスタミンという炎症物質が放出されるので、1型アレルギーと呼ばれています。

皮膚のアレルギー反応

その他にもアレルギー疾患としてⅡ型、Ⅲ型、Ⅳ型があります。

Ⅱ型は溶血性貧血の原因になります。

Ⅲ型は膠原病と呼ばれる難治な疾患です。

リウマチやエリテマト―デス、皮膚血管炎が代表的なアレルギー性疾患です。

リウマチのスワンネック変形

この1型Ⅱ型Ⅲ型に共通する増悪物質がサイトカインと言われています。

つまり、花粉症でIGE抗体が増産されるのは、免疫反応を強化するサイトカインの放出も一因なのです。

生体にとってサイトカインは諸刃の剣とも言えます。

サイトカインとは?

サイトカインは身体を構成している細胞から分泌される生理活性物質です。

細胞同士の情報交換や正常な状態を維持させたりする働きがあります。

また、白血球などの免疫細胞は病原体やガン細胞などの異物を発見すると、インターロイキン(IL-1)やインターフェロン(TNF-α)などの炎症性サイトカインを放出し、炎症反応を促進することで、免疫反応を活性化させ、異物排除します。

炎症性サイトカインは病原体を駆除するために必要ですが、感染がおさまっても引き続き分泌されると慢性的な炎症を起こしてしまいます。

このサイトカインが次から次に放出された状態をサイトカインストームと呼び、恐れられています。

サイトカインが何らかの理由で制御できない状態に陥った状態のことです。

花粉に対する過敏体質どころか、各臓器の機能不全を引き起こす可能性があります。

また、最近サイトカインなどの炎症性物質が放出されやすい状態にあると、アレルギー疾患が発生しやすくなると言われるようになりました。

サイトカインは免疫力を増強させ病原体に対抗する強力な武器になりますが、過剰に放出されると、過激な炎症反応を引き起こしてしまいます。

サイトカインの過剰分泌の状態

花粉症はヒスタミンが分泌されることにより鼻水鼻づまり、結膜炎なの不快な症状をあらわしますが、その陰にはサイトカインの異常放出があるとのことです。

サイトカインが次から次に激しく放出されると、多くの組織が炎症により敏感なり、いとも簡単にアレルギー反応が発生するのです。

もし、サイトカインストームがなければ、生体は花粉を有毒な異物と認識しなくなる可能性が大です。

つまり、ヒスタミンを出してまで防衛することがないということです。

鼻腔や結膜に侵入しても、無害なタンパク質と判断し、見過ごしてしまうはずです。

また、リウマチなどの膠原病もサイトカインが深く関与していることが知られています。ですから、強い炎症と疼痛が発生するのです。

鍼灸のアレルギー性疾患に対する効果

鍼灸漢方でも花粉症やアレルギー性湿疹、喘息などのⅠ型アレルギー疾患、リウマチなどの膠原病の改善は期待できます。

ただし、抗ヒスタミン剤やステロイド剤に比べると、即効性はありません。

それでも、身体にマイルドなのが大きなメリットです。

まず副作用の心配がなく、じわじわと効果があらわれます。次第に花粉症もアレルギー性湿疹も改善していくのが実感できるでしょう。

自律神経を調整して、ヒスタミンの分泌を抑制するからです。

それだけではなく、再発の心配もしなくなります。

それはアレルギー体質そのものが改善されるからです。

恐らく、炎症を抑える自前のステロイドホルモンが適宜分泌されるように副腎に働きかけるからでしょう。

快鍼はサイトカインストームを抑制する

快鍼」の抗アレルギー作用を示します。

それは、上記の鍼灸治療に加えてサイトカインストームを抑制するツボも加えているからです。

言うなれば、快鍼はサイトカインストームに注目して開発した鍼灸治療です。

分布迷走神経

顔面に分布する迷走神経に刺激を与え、脳幹から全身の副交感神経に影響を与えるのです。

その結果、鼻や眼、皮膚、気管支などの過剰なサイトカインの分泌を抑えことが可能になります。

快鍼」はアレルギー反応に対する自律神経や副腎の調整と、サイトカインストームの抑制を目的にした効果的な鍼灸治療です。

快鍼の実際

古くからアレルギー疾患に有効とされるツボ、更にサイトカインストームを抑制して炎症反応を緩和させるツボを利用します。

花粉症に対しては

  • 膝のお皿の内側から指3本上にある血海(けっかい)
  • 肘を曲げたときできる横紋の端の曲池(きょくち)
  • 足の裏の裏内庭(うらないてい)
  • 腰の大腸兪(だいちょうゆ)

などを基本的に利用するツボとし、更に花粉症には

  • 顔の鼻の両端にある迎香(げいこう)
  • 鼻の付け根の印堂(いんどう)
  • 頭のてっぺんの百会(ひゃくえ)
  • 合谷(ごうこく)
  • 足三里(あしさんり)

などのツボを利用します。

曲池

アレルギー性湿疹には第7頸椎の大椎(だいつい)、喘息には大椎の横の定喘(ていぜん)などのツボが繁用されます。

これらのツボに鍼灸治療をすることでも相当の効果がありますが、それだけではありません。

合谷

快鍼はサイトカインストームを抑制するため、顔や耳介の裏や耳孔の近くのツボも利用します。

これらの周りには脳神経のひとつである迷走神経顔面神経(求心路)が走っています。

顔耳のツボの一例

この迷走神経に刺激を与えると、副交感神経系が優位になります。

一見、副交感神経系が働くと、アレルギーが悪化するように思えますが、強力に炎症反応を食い止める作用もあらわれます。

実際、迷走神経刺激は免疫細胞であるマクロファージの炎症性サイトカイン産生を抑制する受容体を刺激し、過剰な炎症反応を緩和するとの報告があります。

この裏付けのひとつとして血中の好酸球の増減を調査しています。

多くの場合、Ⅰ型アレルギー疾患は好酸球が増加しています。

また、好酸球が活性化することでヒスタミンなどの炎症物質が放出されます。

したがって、好酸球の数値が下がることがアレルギー症状の緩和につながると言われています。

その結果、下記に示すように快鍼施術により、好酸球値が低下していました。

血中好酸球数の推移についての臨床調査を詳しくはコチラ>>

コロナ後遺症に用いる復調鍼もサイトカインを抑制することにより功を奏しています。

サイトカインストームに持ち込まないことが、多くの炎症性疾患の症状緩和に役立つはずです。

活脳鍼を長く続けてきた賜物と考えています。

快鍼の改善例

快鍼のアレルギー性疾患の臨床

症例1 花粉症

Tさん 38歳 女性

近年、現代病として患者数がうなぎ上りとなっている厄介な花粉症。

徐々に暖かさが増すこの季節、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、涙目といった症状で悩む人が急増します。

中には頭がボーっとして、家事や仕事もままならないなど、重症化してしまう例も。

花粉症はひとたび発症すると、毎年必ず花粉の飛散する時期に症状が現れます。

そんな症状に毎年悩まされTさんが来院したのは2月半ばです。

そこで、快鍼を施すと、鼻水が激減し、鼻も通るとのこと。実際、来院時はひどい鼻声でしたが、帰るころには普通の声に戻っていました。

快鍼が劇的に効いた症例です。

症例2 アレルギー性皮膚炎

Kさん 32歳 男性

アレルギー性皮膚炎は遺伝的要素と環境的要素がからみあって発病し、悪化することはよく知られています。

病院の標準治療は抗アレルギー剤、ステロイド外用薬などが中心となりますが、なかなか反応しないケースもしばしばあるようです。

そんなアレルギー性皮膚炎に長い間悩まされていたKさん、病院の治療と併用して快鍼を受けるようになりました。

当初、首の周り、左脇に赤みをおびた湿疹がみられました。

迷走神経への刺激が効いたのか、3~4回の快鍼で赤みがとれました。

上半身のかゆみは曲池というツボが効果的ですが、それでも、夜間かゆみを感じ、掻いてしまうとのことでした。

軍手をして眠るようにしてもらいました。

また、ステロイド外用薬の塗布は可能な限り少なくしたいとのことでしたので、希望により漢方薬とサプリを飲むことになりました。

すると、2ヶ月間、延べ15回ほどの快鍼で湿疹はきれいに消えました。

アレルギー性皮膚炎は環境的要素として食物、ダニ、花粉、ハウスダストなどがよく候補としてあがっています。

部屋をこまめに掃除することも勧めました。

症例3 花粉症

Wさん、53歳 女性

暖かな春は大いに歓迎するところですが、花粉の襲来だけはご勘弁願いたいものです。

そこでご紹介したいのが、快鍼です。

快鍼は花粉症などのアレルギー性疾患を対象にした鍼灸治療です。

その快鍼を本年初めて受けたのは、Wさん、53歳 女性です。

毎年の花粉症で来院しますが、1月末とは驚きの事態です。

症状は鼻水鼻づまり、目のかゆみです。たまに口の中もいがらぽっくなるそうです。

一般的な花粉症治療の他、口や耳の周りのツボに鍼を刺し、その上で足の裏にある裏内庭というツボに小さなお灸を行いました。

連続3回お灸を据えましたが、全く熱さを感じません。

諦めずに更に続けると5回目ぐらいで熱いと訴えました。

その途端に鼻の孔が通り、鼻水も止まりました。裏内庭は蕁麻疹に繁用されるツボで、肝機能を増強させ、食中毒を緩和させる作用もあります。

その後、1週間に1回の快鍼で薬を飲まずに日常生活が送れています。もうすぐ杉花粉の季節は終わりを迎えます。

症例4 花粉症

Hさん 38歳 女性

Hさんに初めて快鍼を行ったのは3年前の3月です。

花粉症は鼻よりも目の症状が強くあらわれていました。

確かに花粉が飛ぶようになると、最初に目に症状が出てくる方もいます。

かゆみと目やにが主訴ですが、炎症で真っ赤に結膜が充血しています。

抗ヒスタミン剤の入った点眼薬をしても、大きな改善はみられないとのことです。

目にきた花粉症は、しつこいようです。

そこで、快鍼の他、手の人差し指にある二間というツボに小さなお灸を行いました。

二間はものもらいの特効ツボですが、結膜炎にも有効です。

数回の治療で花粉による目の症状は殆ど良くなりました。

また、Hさんには次のような自助努力も勧めました。

「過敏体質からの脱却するために新陳代謝を高めることも必要です。野菜はサラダやジュースよりも、煮たりスープにしたりして摂るようしてください、内側から体を温めることが体質改善につながります」

症例5 花粉症  

Sさん 41歳 女性

いよいよ花粉症に悩む季節になりました。花粉症の発症率は年々増加し、今や国民の5人に1人の割合といいます。

あきらかに国民病となってしまったのです。

今年は春のおとずれが早いのか、1月末に花粉症患者がすでに来院しています。Sさんもそのひとりです。

Sさんは6年程前に花粉症になり、それからは毎年春先になると症状があらわれるようになったそうです。

当院での治療は昨年の2月末が初めてでした。

丁度、花粉症飛散の最盛期でしたので、鼻水、鼻づまり、目やのどのむずがゆさ等、花粉症症状のオンパレードでした。

しかも抗ヒスタミン剤の副作用でボーとしていて何とも精彩に欠けた顔をしていました。

快鍼に加えて、晴明、攅竹、迎香、太陽、風池、天柱、完骨、上星、百会、強間、三里、太給、手三里といったツボや、胃腸や腎臓を強化するツボにも更に鍼灸治療を行いました。

又、頭のブヨブヨした反応ツボ(特異的にあらわれるツボ)もねらいました。

結果は3回程の通院でほぼ症状は消え、その後、1週間に1回の治療で寛解状態を維持できました。

その効果をしっかりおぼえていたのか、今回は症状があらわれるや否やすっ飛んで来たとSさん。

喜ばしいことに、昨年と同様の治療で、大きな改善がみられました。

花粉症は、東洋医学では水毒症の一種といわれています。

不要な水を大量に体に蓄えている人が、外邪との戦いの末にその水分を排出させるというのです。

排出された水分は、鼻水と考えられるでしょう。また、外邪は花粉といえるでしょう。

特に、水毒症は脾胃の虚(胃腸虚弱)や腎の虚(腎臓や副腎の機能低下)の人によくみられます。

脾胃は、栄養や水分の吸収に関係しますし、腎は水分の排出や広い意味で免疫を含めた生命力に関係します。

したがって、私たちの治療も、対処療法的に鼻や目のまわりに針をするだけではなく、胃腸や腎臓(副腎含む)の機能を正常化させる治療もするのです。

症例6 喘息

Kさん 18歳 男性

ストレスによる肩と背部の凝り、不眠などで時々当院の鍼灸治療を受けていた高校生です。

ご両親もいらっしゃるぐらいの鍼灸大好き家族です。

喘息は子供のころからで、風邪を引いたあとや、季節の変わり目に起こるとのことです。

正月明けに風邪を引いた後、息をするとゼイゼイ音がして、静かにしていても息苦しくなりました。

動くと空気が半分ぐらいしか肺に入ってない感じで、学校にも行けない状態でした。

病院で抗アレルギー剤や気管支拡張作用のある吸引剤をもらい、症状は改善しましたが、それでも夜の発作は収まりませんでした。

そこで、病院の治療と併用して快鍼を受けることになりました。

快鍼の他、定喘や天突などの咳を止める特効ツボを利用しました。

また、東洋医学でいうところの腎を鍛える腎愈や照海などのツボも加えました。

これらのツボは呼吸を整えたり、副腎に働きかけ副腎皮質ホルモンの分泌を誘導するとされています。

すると、快鍼を行った夜は殆ど喘息の発作は起こらなくなり、熟睡できたとのことでした。

その後数回の治療で完治して通学もできるようになりました。

症例7 喘息

Mさん 12歳 女性

ウクライナ人のMさんは有名な中学に進学したとのことで、毎日猛勉強していました。

ご両親もウクライナの方ですが、そのストレスが喘息の原因になったようだと、流暢な日本語で話していました。

そこで、Mさんの喘息ですが、隣にいてもゼイゼイ呼吸音が聞こえるぐらいで、とても苦しそうでした。

近所の病院で薬を5種類ぐらいもらい、1週間ほど飲みましたが、はっきりした効果はみられなかったとのことです。

担当医は入院を勧めましたが、諸所の事情で断り、当院にかかるようになりました。

本人もご家族も薬をやめたいと言っていましたが、私たちも不安でしたので、病院の治療も続けてもらうという条件で、治療を引き受けることになりました。

快鍼の他、天突というツボに2cmぐらい斜めに鍼を刺入しました。

お腹の期門や背中の膈兪というツボも利用しました。

期門は咳のし過ぎで胸が痛くなった時に繁用されます。

また、膈兪は横隔膜の機能を調整して空気を入りやすくします。

治療が終わるころには症状の改善がみられました。ゼイゼイが微かになったのです。

本人も呼吸が楽になったと言っていました。その後2回の治療で完治しました。

但し、あまり無理をすると再発する可能性があるので、とても気がかりでした。後日ご両親から感謝の電話があり、娘はいつもように受験勉強に精を出しているとのことでした。

日本人もウクライナ人も同じ人間、快鍼の効果も同様にあらわれるという結論を得ました。

症例8 主婦湿疹

Oさん 61歳 女性

Oさんは手の裏から親指、人差し指にひろがっていました。俗に言う主婦湿疹です。

指は乾燥しひび割れ、手の裏は赤むくれ状態でしたので、見た目にも辛そうです。

洗剤や漂白剤などの化学物質に敏感なのは理解できますが、印刷物に触っただけでもかゆくなるとのことです。

余程皮膚が過敏になっているのでしょう。皮膚表面のバリア機構が失われている証拠です。

皮膚炎の多くはアレルギー体質が根底にあり、皮膚の防衛機能も弱ってくるので、慢性化すると簡単には治りません。

あらゆるものに過敏に反応してしまうのです。

Oさんもステロイド外用薬の使用が長きに渡ったせいか、患部は角質化していました。

そこで、1週間に2回治療を行いました。

内容は快鍼の他、一般的な消炎作用や抗アレルギー作用のあるツボ、皮膚に栄養を与えるツボなどを利用しました。

具体的には大椎、合谷、肩隅、曲池、血海、中脘、気海、関元、大腸兪などです

特に大腸兪はリウマチなどの膠原病対策にもなるので、究極的な免疫異常のツボになります。

また、東洋医学では皮膚と深い関係がるのは肺とされています。

と言ってもあくまでも東洋医学が示す肺です。

したがって、太淵や尺沢、肺兪などのツボも追加しました。

このように皮膚炎は鍼灸治療でも強敵なのです。

その結果、1ヵ月ぐらいは一進一退でしたが、2ヵ月目に入ってから目を見張る効果があらわれました。

徐々に指の乾燥やひび割れが減り、皮膚の赤みも薄れてきました。

当然のことながら、かゆみもかなり楽になりました。

その半年後には粗主婦湿疹の症状はなくなりました。

化学的なものにも反応しずらくなり、反応しても、かゆみ止めや保湿剤で回復するまでになりました。体質が改善したのでしょう。

なお、Oさんは希望で漢方薬や健康食品も利用しました。

主婦湿疹は難治なので、あらゆる手段を講じて対処すべきです。特に漢方薬は皮膚の再生に効果的です。

症例9 リウマチ

Yさん 46歳 女性

Yさんは神奈川県の身体障碍者施設に入居しています。遠路はるばる三鷹まで来てくれました。感謝とともに申し訳なさも感じます。

関節リウマチで手足が不自由な上、膝に痛みがあったからです。

発症は約20年前、朝に手のむくみとこわばり、軽い疼痛があったので、病院で検査をすると、リウマチと診断されました。

その後、抗リウマチ薬、ステロイド剤、痛み止めなどを飲み続けましたが、段々進行して手足の関節が変形してしまいました。

当然、炎症による痛みもあります。辛い毎日でしょう。

当院に初めて来院したのは4年前です。三鷹駅から介添えの方と一緒にタクシーで来ました。

脳卒中の後遺症で来院している患者さんの紹介でした。

手指もリウマチ独特の変化があり、痛みもあるので、物をつかむのも苦労するとのことでした。

多少でも痛みが取れ、筋力が高まることを希望していました。

そこで、快鍼やリウマチに対応するツボへの治療を行いました。

特効ツボの大腸兪には灸頭鍼という治療を選択しました。

刺した鍼の柄にもぐさを付け、火をつけて深部を温めるのです。

同時に鍼とお灸の効果が期待できますが、気持ちが良いので、何度もリクエストする患者がいるほどです。

変形し痛みのある手指の関節には糸くずぐらいの大きさのお灸をしました。

その結果、次第に朝のこわばりが緩和し、痛みも軽減していきました。

ひとりで来院できるほど調子の良い日もありました。

病院の担当医から炎症反応(CRP)の数値が低くなったと言われ、喜んでいました。

症例10 エリトマトーデス

Oさん 68歳 女性

当院の受診歴は30年に及びます。自律神経失調によるめまいや耳鳴り、心臓不安が主訴でしたので、安鍼という鍼灸施術で対処してきました。

神経質な性格で、しかも気弱、何か大きな病気になってしまうのではないかと心配していた矢先、病院の検査でエリトマトーデスという診断を受けてしまいました。

膠原病の発生にストレスが関与しているのは周知の事実です。

話相手の娘さんは海外生活なので、なおさら不安になってしまったようです。

手足のむくみ、こわばりの他、病院の検査で間質性肺炎も発見されました。

速足で歩くと、息苦しさを感じるとのことです。

そこで、快鍼の他、前記した特効ツボの大腸兪への灸頭鍼、並びに定喘、肺兪、照海、中府、関元などの腎を鍛えるツボに刺激を与えました。

結果、朝の手足のむくみやこわばりが徐々に改善していきました。

また、レントゲン検査で間質性肺炎のすりガラス様の影も薄れてきたことが確認され、エリトマトーデスの悪化は阻止できました。

勿論ステロイド剤の効果はあったでしょうが、鍼灸治療も少なからず寄与したはずです。

今もエリトマトーデスは小康状態を維持しています。

参考資料 快鍼の抗アレルギー作用の臨床調査

花粉症やアレルギー性湿疹、アレルギー性喘息では、血液中の白血球の一種の好酸球が増加します。

したがって、好酸球増加がアレルギー性疾患のひとつの診断基準になります。

本臨床では、快鍼を行う前と、4回行った後の、血中好酸球値を測定しています。

結果は快鍼を行うと明らかに血中好酸球値が低下し快鍼の抗アレルギー作用が示唆されました。

好酸球の増加や活性化はサイトカインと深い関係があると言われています。

快鍼施術前と後の症例別好酸球の推移

症例1 男性 56歳  

■施術前

検査項目結果値LH基準値単位
桿状核球1.0      0.0 - 6.0
分葉核球58.0 32.0 - 73
好酸球15.0 0.0 - 6.0
好塩基球1.0 0.0 - 2.0
単球6.0 0.0 - 8.0

■施術後

検査項目結果値LH基準値単位
桿状核球3.0 0.0 - 6.0
分葉核球47.0 32.0 - 73.0
好酸球9.0 0.0 - 6.0
好塩基球1.0 0.0 - 2.0
単球4.0 0.0 - 8.0

症例2  男性 45歳 

■施術前

検査項目結果値LH基準値単位
桿状核球 1.0 0.0 - 6.0
分葉核球49.0 32.0 - 73.0
好酸球7.0  - 6.0
好塩基球1.0  - 2.0
単球3.0 0.0 - 8.0

■施術後

検査項目結果値LH基準値単位
桿状核球2.0 0.0 - 6.0
分葉核球56.0 32.0 - 73.0
好酸球5.0 0.0 - 6.0
好塩基球1.0 0.0 - 2.0
単球2.0 0.0 - 8.0

症例3 女性 24歳

■施術前

検査項目結果値LH基準値単位
桿状核球2.0 0.0 - 6.0
分葉核球59 32.0 - 73
好酸球9.0 0.0 - 6.0
好塩基球0.0 0.0 - 2.0
単球3.0 0.0 - 8.0

■施術後

検査項目結果値LH基準値単位
桿状核球1.0 0.0 - 6.0
分葉核球47 32.0 - 73
好酸球6.0 0.0 - 6.0
好塩基球0.0 0.0 - 2.0
単球6.0 0.0 - 8.0

症例4 女性 28歳

■施術前

検査項目結果値LH基準値単位
桿状核球1.0 0.0 - 6.0
分葉核球44.0 32.0 - 73.0
好酸球18.0 0.0 - 6.0
好塩基球2.0 0.0 - 2.0
単球5.0 0.0 - 8.0

■施術後

検査項目結果値LH基準値単位
桿状核球2.0 0.0 - 6.0
分葉核球64.0 32.0 - 73.0
好酸球11.0 0.0 - 6.0
好塩基球0.0 0.0 - 2.0
単球4.0 0.0 - 8.0

症例5 男性 31歳

■施術前

検査項目結果値LH基準値単位
桿状核球1.0 0.0 - 6.0
分葉核球58.0 32.0 - 73.0
好酸球5.0 0.0 - 6.0
好塩基球0.0 0.0 - 2.0
単球3.0 0.0 - 8.0

■施術後

検査項目結果値LH基準値単位
桿状核球1.0 0.0 - 6.0
分葉核球41.0 32.0 - 73.0
好酸球3.0 0.0 - 6.0
好塩基球0.0 0.0 - 2.0
単球2.0 0.0 - 8.0
鍼灸と併用して漢方薬や和漢サプリメントも利用できます

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