小児活脳鍼の臨床

症状 特定不能広汎性発達障害

T・Mさん 3歳 男児

保健所の1歳半検診で、指差し単語発話ができないということで、専門医療機関に紹介され、診察の結果、コミュニケーション不全と、意味不明の発話が2~3語文程度あるということで、特定不能広汎性発達障害と診断されました。発達指数も70、発達年齢も1歳11ヶ月とのことで、成長がとても心配でした。少しでも言葉やコミュニケーション、認知の遅れを改善したいと思い、来院しました。

担当者より両親に付き添われて来院。当初、見知らぬ私に不安を感じたのか、鍼治療に恐怖を覚えたのか、泣いたり逃げるしぐさをしたりしていたが、途中で痛くないことや、とても気持ちが良いということに気づいたのか、総じて大人しく治療を受けてくれた。治療方法は眼鍼の代わりに円皮鍼をこめかみに貼り付けたあと、小児活脳鍼で身体全体を擦過し、終了間際に身柱というツボに円皮鍼を固定するという一般的なものであった。何度か来院するうちに、終始笑顔で治療を受けるようになり、2ヶ月ほど経過したころには、治療中に日々の出来事を話すようになった。逆に持参した絵本の内容を質問すると、明確な返答が返ってくるぐらい、発話が正確に、かつスムーズになっていた。家庭でもケアセンターでも、活発な会話や行動がみられ、良好なコミュニケーション能力が身についてきていた。専門医療機関の担当医からも、発達指数が110となり、要経過観察だが、もはや特定不能広汎性発達障害の心配はなくなったのではないかと言われた。

前の記事

活脳晴明鍼の臨床

次の記事

鎮鳴鍼の臨床