小児のスマホ・ゲーム依存症の鍼灸治療!育成鍼
当院は子供のスマホ・ゲーム依存症に対応する施術を実践している鍼灸院です。お子さんの健やかな成長を期して、育成鍼と名付けました。
育成鍼をひとことで言えば、小児活脳鍼に依存症を改善する治療を加えることで、聞き分けのあるお子さんに育てことを目的とした施術法です。対象は小学生のみです。
若者のスマホ・ゲーム依存症は深刻
診療内科では、最近若年層の患者さんが増えているとのことです。
実際、若者のスマホ依存が問題視されています。最も深刻なのは小中高生です。ゲームに没頭して夜の夜中までスマホを操作していることによる睡眠時間の短縮は、昼間の疲労感や眠気、集中力低下につながり、学力の低下もみられます。
それどころか、日付が変わるころは睡眠リズムを整わせるメラトニンも盛んに分泌されます。
その期を逸してしまうと、
- 寝つきにくい
- 睡眠が浅い
- 起きるのが辛い
などの不眠症も併発してしまいます。
更に夜が更けると健康を維持させるために修復ホルモンが分泌されます。夜中の1~2時ごろに最も分泌されるのですが、スマホに夢中になっていれば、この自然の修復過程という恩恵が受けられなくなってしまいます。
こうなると、悪循環が定着し、心療内科医も治療に手こずるようになります。
スマホ・ゲーム依存症とは?
スマホが手放せない、ゲームを始めると時間を忘れるぐらい没頭してしまう。また、スマホやゲームをしていないと、イライラしたり不安になったり、平常心を維持できなくなるなど、精神に与える影響は甚大です。大人でも仕事も家事もおろそかになり、正常な社会生活が送れなくなってしまいます。
コミュニケーションにも支障が生じ、孤立を深め、引きこもりに発展してしまうこともあります。
これはスマホやゲームが楽しくてならないということが発端ですが、基本的にはアルコールやたばこ、ギャンブルにのめり込むことと同じです。悪い行動と思っていても、なかなか止められなくなってしまうのです。
止めれば怒りや不安、気力低下などの症状があらわれるからです。
これは理性が情動に負けた証拠です。
それどころか、情動は激しい感情なので、往々にして自律神経のバランスを崩します。不眠や肩こり、頭痛、吐き気、めまい、耳鳴りなどの自律神経失調症状も併発してしまうのは言うまでもありません。子供のスマホ・ゲーム依存症も同じです。
こうなると規則正しい生活が営めなくなってしまいます。学業に支障を生じるケースも多々みられます。
それプラス、脳や目、耳の酷使が症状に拍車をかけます。
事実、子供の老眼(遠視)や難聴が増加しています。これも見過ごすことができません。
最も危惧されるのは、将来ともにスマホやゲームに依存する、つまり大人の依存症に発展する可能性があることです。
スマホ・ゲーム依存症の症状
スマホは便利でメリットも多いのですが、大きな問題点もあります。最近スマホ依存症が大きな社会問題になっています。大人もさることながら、子供のスマホ・ゲーム依存症も深刻です。
不眠やうつ、学力低下、引きこもり、家庭内暴力、社会不適応などに発展するお子さんもいるからです。
もし、お子さんに以下の症状にあてはまることが多ければ、スマホ依存症かもしれません。
- 学校の友達が少ない。
- いつでもどこでもスマホを見ている。
- スマホを取り上げると、怒ったり泣いたり、そわそわしたりする。
- スマホを毎日2時間以上利用している
- 集中力がない
- 無気力
- スマホが手元にないと落ち着かない
- 急に少食、過食になった
- 運動不足で肥満気味
- 成績低下
- ひきこもり、昼夜逆転
- 家庭内不和
- 暴言、暴力
- 急激な視力低下
- 頻繁に肩こり・頭痛、吐き気、めまいを訴える
スマホ・ゲーム依存症の原因
スマホ・ゲーム依存症の脳はどうなっているか、文献をもとにご説明します。
現在、ドーパミンという神経伝達物質が関与していることが強く推測されています。
ドーパミンは中脳の腹側被蓋野で生成され、それが前頭前野に放出されるとやる気が起こります。同時に大脳辺縁系の線条体にある側坐核に放出されると、快感が生まれるとともにそれに至った行為を強く脳に焼き付けます。
アルコールもニコチン、ギャンブルも側坐核が反応します。スマホ・ゲームも同様、病みつきになるほど快感を脳に残します。
この快感が忘れられず、何度も同じ行為を繰り返し、次から次にドーパミンを増産してしまうのが依存症です。理性的な前頭前野も多量のドーパミンを受けると、混乱して不安になってきます。
また、大脳辺縁系と前頭葉の前頭前野を結ぶ役目をしているのが帯状回です。
不安や恐怖といった感情は大脳辺縁系の海馬で生まれ、それが帯状回から前頭前野に送られます。
前頭前野はその感情を帯状回に戻し、更に扁桃体にフィードバックすることで不安や恐怖という感情が確定されます。
その感情は視床下部を介して全身の自律神経系を興奮させます。
自律神経の興奮をループを築いている大脳皮質の島皮質がキャッチすると、前頭前野は更に理性的な判断力を失います。
帯状回の機能を正常に保つためには感情的になりやすい思考や行動を繰り返さないことが重要です。
つまり、スマホやゲームをしないことですが、かなり難しいことになりそうです。
アルコールやギャンブルは強い決意で臨めば、遠ざけることはできますが、スマホもPCもゲーム機も巷にあふれていますし、仕事や実生活でも使わざるを得ないでしょう。
少なくとも前頭前野や帯状回が大脳辺縁系の側坐核の過剰な興奮に強い反応を示さないようにしなければなりません。
子供はスマホ・ゲーム依存症になりやすい
前頭葉の発育は思春期以降になるまでゆっくり進むとされています。
それまでの学習や経験が積み重なって、爆発的に前頭葉の機能が高まるのです。
思春期は葛藤の時期です。
本能と理性のはざまで思い悩みます。
試練の時代ですが、これを乗り切ることで、社会生活に順応できるようになります。
脳の機能で表すと、前頭葉と大脳辺縁系の戦いとなります。
前頭葉は思考や判断、創生、企画、自己制御、社会性に深く関与し、人間らしい生き方を誘導します。
その一方、大脳辺縁系は全ての動物に発達がみられ、人間でも生まれてすぐに働きだします。
記憶の他、本能(意欲、食欲、性欲、睡眠)や情動に関係が深いのです。
情動とは急に起こる喜怒哀楽といった感情です。
また、物事に対して喜びや楽しみなど、プラスの感情が生まれれば意欲的に行動するようにしますし、悲しみや恐れ、怒りなどのマイナスの感情と判断すれば消極的な行動に仕向けます。
更にこのマイナスの感情は顔面紅潮や呼吸、心拍、発汗など、自律神経系に影響を及ぼします。
したがって、子供は前頭葉、特に前頭前野が未発達なので、大脳辺縁系の側坐核からの快感を制御できません。
スマホやゲームをやりたいという気持ちが先に立ち、誰が何を言おうと止めようとはしません。心の赴くままの行動に走ってしまうのです。
ときには泣いて怒って反抗し、意思を通してしまいます。親御さんもお子さんの将来を危惧する一方、事態の悪化を恐れ、なすがままというケースが多いようです。
育成鍼とは?
育成鍼は小児のスマホ・ゲーム依存症対策に特化した鍼灸治療です。対象となるのは、小学生だけです。6歳以下は通常の小児鍼になりますし、中学生以上は大人の鍼灸治療になります。
育成鍼の基本となる小児鍼は安全で効果が期待できるので、関西以西では広く浸透しています。小児は余程のことがない限り精神神経系の薬が使えませんので、安全で効果的ということで盛んに鍼灸が利用されているのです。
現在は時代を反映してか、精神神経科領域の疾患が急増しています。小児鍼もそれに対応すべく脳の機能を高める工夫が必要になりました。
そこで、小児活脳鍼が生まれ、さらに依存症を緩和すべく育成鍼に進化しました。
育成鍼の特徴は、前頭葉の前頭前野に働きかけることにあります。
前頭前野の血流を増加させ、機能を強化することで、大脳辺縁系の本能的な欲望を理性により抑制させるのです。
勿論、医療機関による標準的な治療が必要なのは言うまでもありません。育成鍼は標準的な治療の効果を相乗的に高めることが目的だからです。
育成鍼の作用機序の推論
基本的に鍼灸は脳の興奮物質であるドーパミンやアドレナリン分泌をコントロールするセロトニン分泌を促進することが知られています。
育成鍼においては、顔の神経を刺激しますので、明らかに前頭葉の血流が増加し、更なる効果が期待できます。
最近、大人のゲーム・スマホ依存症に磁気刺激を前頭葉に与えるTMS治療が行われるようになりました。
これは磁気刺激を与えると、前頭葉の血流が高まり、前頭前野の機能を活発にさせるという理論にもとづいています。
既にうつ病や認知症、脳卒中の後遺症対策として利用されています。
これらの疾患も前頭葉が活性化すれば、改善に向かうからです。
同じように育成鍼でも前頭葉の血流が増え、活性化していることが示唆されています。
このことは、光トポグラフィーを用いた検査で証明されています。
光トポグラフィーは赤外線を放出させ、その跳ね返りをセンサーでキャッチすることにより脳血流の増減を測定する医療機器です。
円皮鍼による刺激でも多くの症例で再現性がみられましたので、育成鍼の脳血流増進作用は間違いありません。
お子さんのスマホ・ゲーム依存症に用いるのも円皮鍼ですし、基本的なツボも変わりません。
したがって、前頭葉、前頭前野の働きを活発にさせていると考えられます。
前頭葉は理性の脳です。善悪を理解して正しい行動をとることができる脳なのです。
ところが、お子さんの前頭葉の発達は未熟なので、大脳辺縁系から発せられる欲望に負けてしまい、スマホやゲームがやめられなくのってしまうのです。
これで、前頭葉を強化する育成鍼がスマホ・ゲーム依存症に効果があるのが容易に推測できます。
次の図は円皮鍼をこめかみやおでこ、鼻の下に貼り付けたときの光トポグラフィーの検査結果です。
貼る前は前頭葉が青く、血流が低下していることが解ります。ところが、円皮鍼を貼ると、もののみごとに赤くなり、顕著な血流増加が確認されました。
顔の円皮鍼でもおでこに貼り付けると 臨床的には帯状回を刺激する可能性があります。ヨーガや大仏様のチャクラに相当します。
更に耳の円皮鍼も気持ちを落ち着かせたり、迷走神経を介して内臓と島皮質のループにより前頭前野に与える悪影響抑えるからです。怒りや不安を鎮め、平静な心に戻す可能性が高いのです。
育成鍼 治療の実際
もともと鍼灸による精神神経科領域の治療は定評があります。
大人でも子供でもしっかり効果はあらわれます。
小学生の場合は円皮鍼を手足やお腹、背中にあるツボに刺します。蚊が刺す如きなので、まず痛みは感じません。
その上で顔に痛くない鍼のシールを貼ります。
顔は前頭葉の血流を高め活性化する作用があります。
大脳辺縁系の欲望に冷静に対処する力を養うことが目的です。
また、耳にも有効なツボがありますので、シールを貼る対象になります。耳のツボはうつ病や不安神経症などの症状緩和に効果的です。耳のツボ治療は中国が発祥という説もありますが、古くからヨーロッパでも知られています。
フランス人医師ポール・ノジェ は伝承されている耳のツボを解りやすく体系化して医学書として著しました。その中に麻薬中毒に効くツボも紹介されています。
なお、育成鍼はすぐに効果があらわれるわけではありません。何らかの改善がみられるのは週に1回の治療で1ヵ月はかかるでしょう。したがって、治療期間中は、今まで通りスマホやゲームをさせてください。無理やりやめさせると心身に疲労が溜まり逆効果です。
お子さんの前頭葉に変化がみられる頃、つまり落ち着きが出てきたら、諭すように時間を決めてスマホやゲームをやらせると良いでしょう。
遊ぶ時間や勉強する時間、家事の手伝いの時間、それぞれメリハリをつけることが大切です。10時ごろには眠る体制に入り、睡眠時間は10時間以上とらせるようにしましょう。
以上、小児スマホ・ゲーム依存症対策育成鍼をご説明しました。お困りでしたら、是非一度診させてください。ご来院をお待ちしております。
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