糖尿病や脂質異常症、肥満、高血圧症などのメタボリック症候群と、それらが原因となる腎疾患や眼疾患、末梢神経疾患が対象になります。

メタボリック症候群は食事や運動、休養、喫煙、飲酒など深く関わり、それらが適切に行われないことにより発生する内蔵型肥満や脂質異常症、高血圧症、糖尿病を指します。このメタボリック症候群が問題視されるのは、放置しておくと生活習慣病の発生確率が増えるからです

生活習慣病にはガンも含まれますが、原因が多枝に渡るため、難しい解釈になります。高脂肪食が大腸ガンや乳ガンに関与しているは明らかですが、原因とまでは言えないという学者もいます。因果関係が明らかなのは喫煙ぐらいです。

したがって、生活習慣病の多くは動脈硬化を促進させ、血管を詰まらせたり出血させたりすることから発生する疾患です。

この詰まりや出血が脳血管や心臓の冠状動脈で発生したら、命取りの病気になってしまいます。

また、腎臓や目の動脈で起こったら、人工透析や失明といった事態に陥ることが危惧されます。

特に糖尿病は、動脈硬化を加速させます。

神経まで侵しますので、手足に痛みやしびれを発生させることも少なくありません。 糖尿病性末梢神経障害と呼ばれる疾患です。

動脈硬化について詳しくコチラ>>

いずれにしろ、一刻も早い治療が望まれます。

まずは、悪い生活習慣を改め、メタボリック症候群と呼ばれる糖尿病や脂質異常症、肥満、高血圧症を進行させない努力をすべきです。

その上で、当院が実践している「減糖減肥鍼」を併用して頂くことをお勧めします。

生活習慣病

東洋医学の古い教本である素問霊枢にも、消渇(しょうかつ)という病名で糖尿病に関わる記述があります。

遺伝や生活習慣の悪さが原因で身体に熱症状があらわれ、いくら食べても空腹感がおさまらない、水をいくら飲んでも渇きがやまない、更に排尿異常もあらわれるとのことです。

東洋医学では、この熱は腎の機能が弱った場合に発生するとされています。これを腎虚と呼んでいます。

つまり、東洋医学で言うところの腎は、西洋医学で言う腎臓とは異なり、尿を作るだけではなく身体中の熱もコントロールしていますので、その腎がオーバーワークになると、過剰な熱の発生を抑えきれなくなり、身体中に熱症状があらわれるのです。

その熱が身体の上の方に溜まれば喉の渇きが出て、胃などの中央に溜まれば過食になり、排尿に関係する下腹部に影響を及ぼせば尿が混濁して多尿になるということです。 まさに現代の糖尿病を指しています.当院でも糖尿病や脂質異常症、肥満、高血圧症の危険性は以前より認識しています。

肥満

特に糖尿病は単に血糖値が高いということだけではなく、高血糖が身体中の動脈に損傷を与え、動脈硬化を引き起こしてしまいます。

動脈硬化は心筋梗塞や脳卒中の原因になるばかりか、腎疾患や眼疾患の発症を高めます。

動脈硬化

腎動脈硬化が進むと人工透析の適応になりますし、網膜動脈硬化は網膜症や眼底出血による視野障害を起こします。

そこで、これらの疾患に効果的な鍼灸治療を考案し、臨床により多くの改善例をみています。

鍼灸治療

経験的に胸椎や腰椎付近にあるツボには膵臓のインシュリンの分泌を高める作用のあることが判明しています。

また、代謝や消化器系の機能に関係する湧泉や照海、太谿、地機、脾兪、胃兪、胃倉、陰稜泉、陽稜泉、尺沢、などのツボも使用します。

これらのツボを上手く活用することにより、血糖値を低い状態に導くのです。

また、肥満に関しては、確実ではありませんが、耳には食欲を抑えるツボがあります。

更に、経験的に飲食物の胃腸管における通過スピードを速める作用があると言われている、合谷や太衝、豊隆などのツボも利用します。

女性では瘀血(おけつ)と呼ばれる血流不全が代謝障害をもたらしている場合がありますので、血海や天枢、気海、三陰交などの血流を促進するツボにも治療を行います。

更に高血圧症も動脈硬化を促進する最大の因子ですが、その対策としては、身体の末端である頭や手足に鍼や灸をすることにより、末梢血管が広がり心臓の負担が減ることで血圧の低下をみています。

その他、耳の付近には、高血圧に関係するツボもあります。

その他、臨床において、唇付近への鍼刺激は、腎動脈を拡張し腎血流を改善することで、血圧を安定させるのではないかと考えられています。

これら一連のメタボリック症候群に対する鍼灸施術を「減糖減肥鍼」と呼びます。

実際、血圧脈波計を用い、減糖減肥鍼を行う前と後のCAVI(動脈硬化指標Cardio-Ankle Vascular Index)を測定し、減糖減肥鍼の抗動脈硬化作用を検証しています。

具体的には心臓から足首までの動脈の硬さを測定して、動脈硬化の進行度を評価することになります。

血圧脈波計

正常範囲は<0.8で、数値が低くなれば血管の柔軟性が高まるとされています。

人間ドックなどで手足に血圧を測るゴムの圧迫帯を装着するとともに胸に心電計の吸盤を付けて、血管年齢を調べた方もいるはずです。

検査

この調査は、その応用です。もともと鍼灸は動脈の血管運動神経に働きかけ、反射的に血管を広げる作用があります。

本調査の対象は健康な方5名で、十分な柔軟性を持っていますので、直後にCAVIが低値になりました。

減糖減肥鍼は、鍼の作用の他、血流を改善するツボを多用しますので、更なる効果が期待できます。

恐らく、動脈硬化を起こしている場合でも、同様な作用を及ぼし、進行を抑制することが期待できるでしょう。

この調査を詳しくお知りになりたい方は次のタブからどうぞ!

血圧脈波計を用いた減糖減肥鍼のCAVIの調査ついて詳しくコチラ>>

特に深刻なのは糖尿病からの3大合併症の腎症、網膜症、神経障害ですが、「減糖減肥鍼」をもとに当院オリジナルの鍼灸治療法を併用することで治療成績を上げています。

腎症には、お腹や背中にある腎臓の機能を高めるツボの利用の他、「活脳鍼」を併用します。

「活脳鍼」は脳卒中の後遺症対策に開発した鍼灸治療ですが、その作用を応用するのです。

顔面に分布する三叉神経第や顔面神経、迷走神経への刺激は、副交感神経を刺激し、血管を拡張させることで高血圧を抑制したり、腎臓の機能低下を防ぐ可能性が高いからです。「減糖減肥鍼」で血糖値を下げ、「活脳鍼」を加えることで、腎臓を保護するということになります。

活脳鍼について詳しくコチラ>>

神経障害には「龍勢鍼」を併用します。

龍勢鍼について詳しくコチラ>>

特に力を入れているのが、糖尿病性網膜症です。

高血糖が続くと、網膜の血管を傷つけ、動脈硬化を起こしてしまいます。

当然、血流が悪化して、網膜組織の機能が低下します。

更に血流不足を補うため新生血管をつくりますが、脆弱で蛇行したりするので、 浸出液が出てきたり出血したりします。 その結果、視力や視野に異常を来す網膜症や網膜剥離、眼底出血が発生するのです。

網膜症と眼底出血

網膜は目に入るものを画像化して、それを電気信号に変え、視神経を介して脳の視覚野に届けるという重要な役割があります。

網膜の機能が落ちることは、視力と視野を失うことにつながるのです。

これが糖尿病性網膜症のおおよその病理ですが、有効な対策として挙げられるのは網膜の血流改善です。

新生血管をつくらなくても済むように網膜の血流を改善することです。

そこで、当院では「減糖減肥鍼」で血糖値を下げ、 網膜血流を促進させる「活脳晴明鍼」を併用することで対処します。

活脳晴明鍼について詳しくはコチラ>>

「活脳晴明鍼」は緑内障や黄斑変性に対応する鍼灸治療ですが、網膜血流を改善することがレーザースペックルフローグラフィーという網膜の血流を計測できる医療機器を用いた臨床調査で、明らかになっています。

いずれにしろ、上述の疾患は、不健康な生活習慣を続けることにより発生しますので、他力本願では解決しません。

運動や摂取カロリー制限などの自助努力が必要です。

また、糖尿病は様々な合併症を起こすので、間違いなく大きな危険因子になりますが、血圧やコレステロールは、単に低ければ良いというわけではありません。

ご自分の生活環境やご年齢を加味して理想を追求する必要があります。

肥満に関しては小太りの方が長生きするというデータもあります。 いずれにしろ、困り果てたらスタッフの中に管理栄養士の免許を所有している者もおりますので、食事指導も受けてみて下さい。

減糖減肥鍼の臨床例はコチラ>>

動脈硬化を詳しく

最近、内臓脂肪肥満で、高血圧症、糖尿病、高脂血症のうち2つ以上該当する場合をメタボリックシンドロームと呼び、動脈硬化の危険性が高いと言われるようになりました。

動脈硬化とは動脈の内膜に粥状硬化(アテローム変性)が発生して内腔が狭くなったり、動脈が柔軟性を失い硬くなったりすることです。その他、細動脈硬化やメンケルベルグ型硬化(カルシウム変性)があります。

粥状硬化(アテローム変性)が進むと、血球や血小板、脂質などの血液中の成分がその動脈の内腔を塞いだり、剥がれた粥腫(プラーク)が細動脈や抹消血管を詰まらせたりすると、脳梗塞になります。特に血球成分だけで詰まった場合を脳血栓と呼びます。

また、細動脈硬化やメンケルベルグ型硬化のように動脈が柔軟性を失うと、動脈圧の上昇で血管壁が破れやすくなり、破れた場合を脳出血と呼びます。その他、同じ脳出血でも脳とクモ膜の間で出血する場合がクモ膜下出血です。

原因は動脈硬化もありますが、多くは動脈瘤の破裂です。

動脈硬化の危険因子は老化ですが、特に内蔵型肥満、高血圧症、糖尿病、高脂血症を合併すると死の四重奏と呼ばれ、加速度的に動脈硬化を引き起こす原因になります。

更にストレスや喫煙が加わると動脈硬化に拍車がかかります。

つまり、高血圧症は常に動脈に強い圧力がかかるので、内膜に傷が出来、そこから血液中のコレステロールなどの脂質が浸透して動脈硬化を起こすのです。

また、動脈硬化のため血流が悪化すると、その代償のため血圧を更に上げるという悪循環になるのです。

糖尿病は過剰な糖分が蛋白の非酵素的な糖化を引き起こし、その結果生じた糖化蛋白は、糖化LDLやAGE-LDLを生成させ、それをマクロファージが取り込み泡沫細胞になると、粥状硬化(アテローム変性)を引き起こします。

また、酸化ストレスを増加させます。

高脂血症は、酸化したLDLコレステロールをマクロファージや平滑筋細胞が取り込み、それが泡沫細胞に変化し内膜に溜まることにより粥状硬化(アテローム変性)を起こします。

高尿酸血症は過剰な尿酸が内膜に炎症を起こします。肥満は高血圧症、糖尿病、高脂血症の原因となります。

減糖減肥鍼の血圧脈波計を用いたCAVIの変化

症例1

症例1
症例1

症例2

症例2
症例2

症例3

症例3
症例3

症例4

症例4
症例4

症例5

症例5
症例5

参考文献

血管弾性に鍼刺激が及ぼす影響 岩元 英輔, 村瀬 健太郎, 谷之口 真知子, 本石 希美 
全日本鍼灸学会雑誌/60 巻 (2010) 1 号/書誌

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